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高校生が1年間留学して得たものは語学力ではなく世界の広さを知ったこと

高校生の留学 留学
高校生の留学

若いうちに海外に触れることは、たとえそれが短期であっても吸収するものはすごく多い。
特に高校生の夏休みに2週間とか1か月留学をすると、語学力だけではない成長が待っている。

それが長期になれば、それはかけがえのない経験になる。
高校生が1年間の留学で得たもの、の話。

イギリスの文化を目の当たりにした。

わたしは高校生の時に1年間イギリスへ交換留学をした。
2000年代にした留学だから、勝手に「Y2K留学」と名付けた。
これが実現できたのは親のおかげでしかなく、とても感謝している。

わたしが留学をしたのは2001年。
イギリスの年度初めに合わせ8月に渡英し、9月から学校で寮生活というスケジュール。
ちょうど学校が始まった9月にアメリカではとても大きな事件が起きた。
しばらくはロンドンの地下鉄も危険だから避けるように言われた。
そんな年だった。

学校はBoarding School(ボーディングスクール)、日本でいう寄宿学校だ。
生徒は小学生から高校生までが一緒に生活している。
校内には明らかな上下関係があり上級生に多くの権限がある。
先輩が後輩に対して威張っているというのではなく、例えばランチタイムも最上級生から食堂に入場する、その最上級生の中にも階級があり成績が良かったり生徒会長のような立ち場の生徒は先生たちと食卓を共にしたりする。

それまでわたしが経験したことのない光景に、最初はとても驚いたがまだ世界にはそのような仕組みがあるのだ、という事を知った。

授業のとり方も日本とは全然違う。
授業の中にキャリア教育があり、将来自分がやりたい仕事や行きたい大学に行くために必要なクラスを選択する。
日本の高校では理系文系くらいには分かれるが、もっと細分化されている。

絵を描きたい人にはそのクラスがあり、裁縫をやりたい人は裁縫のクラスが選択できる、写真のクラスや楽器のクラスなど本当に多くのクラスが用意されている。
生徒が本当に勉強がしたくて学校に来ているのだろうな、と感じた。
(これは海外の私立学校での話。)

とは言え、わたしの英語レベルで付いていける授業は少なく、選択できた授業はいくつか。
空いた時間は図書館で英語の本を開いて眠くなる目をこすって睡魔と戦っていた。

英語力よりも自立心!!

本来であればまずは英語!といいたいところなのだが、わたしの場合はそれよりも自立心と生活力が身についた。

日本では母がやってくれて当たり前だった洗濯や掃除、ベッドメイク、日用品の買い出しなど、放課後を利用して自分で計画的に行う必要があった。
寮生活だから炊事の必要はなかったが、それでも水道水を飲む習慣がないイギリスはペットボトルの水を買ってくる必要がある。重い。

加えて体調管理も自分でするしかない。これがなかなか大変だった。
寮生活中に、2度も高熱を出した。理由はよくわからない。
寮内に医務室はあるが、英語で症状を伝えるのは容易なことではない。
電子辞書を片手に、意識朦朧としながら、症状を伝えた。

イギリスの薬は日本の薬とは違う。
一番驚いたのは、飲むための風邪薬でうがいをして、それをそのままの飲めと言われたこと。
そのようにしろ、と言われたからそれが正しい服用方法なのだと思うが、そんな薬の飲み方初めてだった。
一人暮らしでも感じると思うが、体調が悪い時に一人で乗り越えないといけないというのはとても不安だった。
何をするわけでもなくても、家族がそばにいてくれる安心感は何よりもありがたい。

食事管理も自分の役目だ。
食べ盛りの高校生、食べ過ぎても誰も注意してくれない。自分でコントロールするしかない。
これがなかなか難しかった。ついついお菓子に手が伸びてしまう。
せんべい派なのに何故かこの甘ーいチョコレートが大好きになった。
CadburyのFruit & Nutの1kg(!)くらいのバーがあって、抱きしめながら食べていた。


他にもCadburyのCrunchie Bar(チョコレートの中にカリカリに乾燥させたキャラメルが入っている)やMARSのTwix(バタークッキーをキャラメルとミルクチョコレートで覆ったチョコバー)がお気に入りだった。



何よりも世界がひろがった

中学・高校生の頃は、自分の身に回りで起こることが世界の全てのように感じるものだ。
今はSNSもあり広い世界で起こる情報を手軽に知ることができるが、Y2K時代はそんなことはできなかった。
今であっても画面越しに見聞きする情報は、実際に肌で感じる情報とはまた違う。
自分の目で見て、肌で感じて、匂いを感じる経験は本当に価値観が変わるような大きなきっかけになった。

わたしにとっては、これが本当に大きかった。
世界の中の、日本の中の、学校の中の、クラスの中で起こることが自分の全てのように感じていたわたしにとっては、ここじゃない場所でも生きていく場所があるんだ、と思えたことが世界が大きく開けた瞬間だった。
海外の人とかかわることで、日本が全てじゃないと思えた。日本だけでなく、学校、クラス以外にも広い世界がある、自分に見えていた世界なんて、ほんの点でしかなかったのだ。

そして外から日本を見ることで、今までは当たり前だと思っていたことがそうでもないと知るきっかけになり、同時に日本の良さ、特殊さなどを知るきっかけになった。

そして最後が英語力
もちろん英語力はアップしたと思うが、完璧なネイティブレベルには到達しなかった。
当然なのだが、不思議なもので留学に行けば何故かペラペラになると思っていた。
もちろんそんなことはなかったのだが、ただ、片言なりの英語で話が通じたり相手の言っていることが理解できるとそれは自信になり、勉強する動機になることを知った。
そういう機会を毎日得られるのは留学の大きなメリットだ。

ただ、わたしは単語や文法を間違えた英語を話すのが怖くて、その感覚は後のワーホリに行くまでなかなか抜けなかった。

留学で得たもの。わたしの場合は世界が広いと知ったことだ。
これはわたしのその先の人生を支えるほどの発見だった。
その留学でペラペラになれば尚よかったが、ならなかった。しかし、英語が分かれば世界がもっと広がることを知った。だから英語の勉強はその後も続けている。

仕事で英語も使っているし、好きなアーティストのインタビューに字幕が付いていなくても理解できることは嬉しい。
英語が分かるといいことが沢山ある。
例えば、世界中に友だちができる、日本でないどこかの国で暮らしていける可能性が大きく広がる。

英語が世界で一番使われている言葉なのは周知の事実だが、それを話す人の8割は英語を母国語に持たない非ネイティブだと言われている。
人口の減り続ける日本。あらゆる意味で国内だけでなく、国外にも目を向ける必要がある。

それを生き延びていくには英語は最強アイテムだ。
わたしはいつも思う。

世界は広いんです。

日本だけがあなたの居場所じゃないという事を。

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