カナダはバンクーバーからフェリーで約2時間のところにある小さな離島。
そこにあるオーガニックファームでウーフをした、お話。
ウーフをしたのはオーガニックハーブファーム
ウーフという仕組みを知って、実際にウーフとすることになるまでの話はこちら
わたしがウーフをしたのは、カナダのバンクーバーからフェリーで2時間ほど行ったSaturna Island(サターナ島)という、大きさ約31平方キロメートル。板橋区くらいの大きさの島。
定住している人口は300人くらい。平均年齢は高く、若い世代は少ない。
島に学校はないから、フェリーに乗って近くの島にある学校に行く。
島内には別荘も多く、週末やホリデー期間は賑やかになる。
その島でウーフをした期間は約2か月だ。
わたしがお世話になったホストはご夫婦で、ファーム業以外に本業があった。
ホストファーザーは電気工を、ホストマザーは島の郵便局員だった。
それとは別に、趣味兼副業的にオーガニックハーブを育てるファームを所有していた。
2人の趣味はその他にも家庭菜園、釣り、キャンプなど多岐にわたる。
2人には本業があるため、手の回らないオーガニックハーブの手入れや、広大な敷地の手入れなどのお手伝いをウーファーにお願いしているというスタイルだった。
ウーフの基本システムは、労働の対価として食と住を提供するというもの。
なんと、ここには衣食住の全てを提供してくれた。
過去のウーファーたちが残していった衣服を自由に使えるようにしてくれていた。
別に衣服は使わなくてもいい。わたしは服が汚れそうな作業の時だけ衣服を借りた。
次は衣食住の「食」。3食すべて提供してくれる。
朝食はホストが用意してくれた食材から選んで各自で食べる。シリアル、パン、卵、バナナ、ミルクなど簡単なものだ。
昼食はホストが作ってくれることもあったし、各自インスタントラーメンなどを調理することもあった。
夕食は海外らしく賑やかだった。お母さんがお料理上手で、お米がメインで出てくることもあった。
わたしも料理を手伝ったりして、ホストとウーファーが一緒に机を囲んで夕食を食べる。
この時間がコミュニケーションの場だったから、わたしはとても楽しかった。
3食は提供してくれるが、トリート(おやつとかお酒とか)は自費だ。
それでも時々ビールをご馳走になったり、本当にホストに恵まれた。中にはもっと気前のいいホストもいるのかもしれないし、その反対もいるかもしれない。
わたしが2か月の滞在中に使ったのは3,000円くらい。
そもそも使う場所がない。島に1つだけある商店で何度かチョコレートを買ったくらいだ。
そして衣食住の「住」。
ホストの家と別に、ウーファーが寝泊まりできる平屋のロッジ?があった。
ウーファー用は2部屋、作りはシンプルで室内にはデスク、テレビ、ベッドがあった。
トイレとシャワーは共同。
一番奥の部屋は貸しに出していて、オーガニックライフを送る若いカナディアンの女の子が住んでいた。
ホストの自宅は新しく設備もピカピカだが、こちらはちょっと年季が入った感じ。
そもそも無償で提供してくれているわけだし、わたしとしては特に文句はなかった。
ウーフでの1日のスケジュール
わたしと同じタイミングで、もう1人日本人のウーファーがいた。
彼女は英語の勉強も兼ねてきていたので、あまり日本語を話したくないとのことだった。
自分にも同じような経験があったから(1度目のオーストラリアにて)彼女との会話もなるべく英語を使った。
ウーファーとしての拘束時間は、週5日、9時~12時と13時~15時の計5時間ほど、週2日はお休み。
仕事は季節によって変動する。畑を耕す時期、収穫の時期、畑仕事がない時は小屋のメンテナンスなど色々だ。
わたしが滞在した初夏は、雑草抜きやハーブの手入れやピッキングがメインで、収穫した新鮮なオーガニックハーブ数種類をセットにして商品として出荷していた。
工具を使い広大な畑の除草作業もしたし、雨の日は屋内でシール貼り、またある日は放牧している牛のうんちを集めたり、と作業に飽きることはなかった。
意外にも、わたしには雑草抜きのセンスがあることも知った。気合が入りすぎて腱鞘炎になった。
一番大変だったのは、イラクサとあざみの除草。どちらもトゲがあって触るととっても痛い。
手袋をしていても貫通してくる。野生の逞しさよ。
ハードな作業は少なく、基本的に無理のない範囲での作業で残業もなかった。
お仕事時間以外は自由。勉強してもよし、散歩をしてもよし。
もちろんショッピングモールも映画館もない。娯楽はなくお金を使うことはない。
その代わり、歩いて5分のプライベートビーチで海や沈む夕日をただただ眺めたり、自転車を借りて島をサイクリングをしたり。
早起きして、朝焼けを見に近くの丘に登ったこともあるし、ホストファーザーとボートに乗って釣りにも行った。自然と時間だけはたっぷりあって、本当に贅沢な時間だった。プライスレス。
カナダではアイスホッケーが人気で食後に一緒にテレビで観戦したり、トランプゲームをしたり。
祝日にはカナダの伝統的な料理をふるまってくれたり、友人を呼んでのパーティに混ぜてもらったり、集会場での歌の発表会に連れて行ってもらったり、ホストの充実したライフスタイルを間近に見せてもらった。
カナダでもワーホリの中で、この2か月は本当にかけがえのない時間になった。
念願の田舎暮らし、農業体験を通じ沢山の自然に触れ、心も体もたっぷり栄養をもらった
それ以上に、ホストとの出会いが本当にたくさんの気づきを与えてくれた。
ホストの周囲の人たちからも、たくさんの刺激を受け、改めて世界って広いなとか、自分の悩みなんてちっぽけだったなと思ったり、一度きりの人生もっと楽しもうと思えた。
世界は広いんです。